コーヒーの楽しみ方

夏の時期に、色々とご投稿いただいたりしたお蔭で、閑古鳥が鳴いている日は無くなって来ました。厚かましいことですが、この店からの景色や美味しいものを愛する方に、何とか「目的地」として訪れて頂きたいなと思って、新聞や雑誌等のメディアへの店としての掲載はご遠慮しております。ただ、旅の目的地としての雑誌記事やライブカメラのテレビでの利用はお受けしており、徐々にコーヒー好きのお客さまが遠方からもご来店賜り、豆の扱い方やドリップ方法について、色々とご質問いただくことが増えてきました。コーヒーの成分の解明すら完全に行われているわけではないので、正解は無いかも知れないですが、焙煎士が考えていることを記しておきたいと思います。
保存:コーヒーは焙煎後3日~2週間程度が香り、甘みともにベストな時期だと思います。家庭なら3週間は持つと思っています。冷暗所での常温保存がベストです。焙煎するとコーヒー豆は空隙を有する活性炭状態になります。冷凍すると、出した瞬間に隙間に霜が発生し、風味を損ないますし、冷蔵庫自体が食品類の保存場所ですから、キムコを入れたようなものですから、大好きなくさやでも入っていたら、コーヒーはくさやの香りをたっぷりと吸って、さぞかし良い香りになるでしょう。なお、真空パックと酸化防止剤を使っても、味の劣化は否定できないと思います。当店のドリップパックも商品の性質上酸化防止剤を入れていますが、まだ解明されていないようなコーヒー豆の揮発成分が抜けてしまいます。何かが違うように感じます。
淹れ方:サイフォン、フレンチプレス、アメリカンプレス、三つ穴ドリッパー、一つ穴ドリッパー、ネル、水出し、エスプレッソ、マキネッタなどなどキリがありません。アイスコーヒーに関しては、氷で薄まる分の濃度を上げずに淹れられ、かつ冷たくて、揮発・蒸発しなくても香りが楽しめるコールドブリューが最適だと考えています。かつ香りを引き出せる滴下式が最善だと思います。ホットに関しては、全ての淹れ方を40年ほど前から愛しておりましたが、雑味を発生させない85℃~90℃程度の温度帯で淹れられ、香りを引き出せるお湯を溜めない淹れ方が、個人の趣味では無く店舗としてはベストと信じて、一つ穴かつ、旨みも引き出しやすい三洋産業のドリッパーにアバカのフィルターでご提供しています。お湯の流量がコントロールしやすい極細口のケトルを持っている場合は、これが最善の選択肢になるでしょう。細口ケトルが無い場合は、お湯が溜まる分、香りが減りますが、三つ穴ドリッパーが次善の策となります。当店でもお菓子作りにはエスプレッソを用いますし、極深煎りでトロトロを飲みたくなればネルを用いますので、他を否定するものではありません。
お水:都会の水道水はカルキが多いので以ての外です。一日汲みおいて、カルキを抜けば大幅に軽減できます。なお、硬水で淹れると、酸味や苦味を感じにくいです。エヴィアンとかで淹れてみると分かります。一般的にヨーロッパの方が深煎り好きで、北米の方が浅煎り好きなことも何となく分かる気がします。日本は軟水です。雑味が出やすいので、できるだけクリアに、雑味が出ないように淹れることが大切だと感じています。粗挽きにして低温、一つ穴と一貫しているつもりです。
ミル:マルコニックが代表格ですが、豆を均質に挽くと豆の個性は分かりやすいです。カッティングミルと呼ばれるものを中心に、コーヒーのプロが色々と評価していますが、店としては使えないと思います。美味しく淹れたいからです。当店はスイス製のディッティング。家庭なら、少しお高いですが、硬質鋳鉄を持っている手挽きミルがベストだと思います。いつものコーヒーがもっと美味しくなること請け合いです。ミルで味は大きく変わります。
その他:空気の澄んだ場所の屋外で飲むことには敵わないでしょう。室内は色々な匂いで満ちています。山頂で飲むコーヒーやバーベキューが美味しいのもそのお陰です。焙煎度合いに関しては、豆の個性や用途次第で決まると思います。どれが良いということはありません。ドリップレシピは色々あります。一気に淹れていくレシピが大会優勝したこともあります。ただ、豆の量と湯量はどうやら黄金比があります。20gの豆と300gのお湯です。
本日もご一読有難うございました。是非店でもご遠慮なく質問して下さい。平日なら空いてますので。

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